review notes
ミステリーとしての読みどころ
「リナ・アスガースは、八年近くも夫と暮らしてから、やっと自分が殺人者と結婚したことをさとった」――この印象的な一文から始まる、犯罪心理小説です。
ハンサムで人当たりのよい青年ジョニーに熱心に言い寄られ、リナは彼と結婚します。幸福な日々のなかで、しかし彼女は少しずつ、夫の別の顔を知っていきます。浪費癖、平然と重ねられる嘘、ギャンブルの借金や女性関係。それでもリナは、ジョニーが立ち直ることを信じ、手を差しのべ続けます。
作者フランシス・アイルズは、当サイトでも紹介している『殺意』と同じ書き手による別名義で、その正体は黄金期英国本格の巨匠アントニイ・バークリーです。謎解きの型に収まらない技巧で人間の心理を掘り下げる筆致は、『殺意』と同じ系譜に連なるもの。のちにヒッチコックが『断崖』の題で映画化したことでも知られる一冊で、犯罪と心理が交差する物語を好む読者に向いています。
(出典: 東京創元社/honto書誌「レディに捧げる殺人物語」 / 日本語版Wikipedia「アントニイ・バークリー」 / 書評サイト複数)
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