review notes
ミステリーとしての読みどころ
黄金期アメリカの多重解決ミステリ。心理学者でもあったC・デイリー・キングが手がけた〈オベリスト〉と題する連作の第1作にあたる。
舞台は大西洋を横断する豪華客船。船内のサロンが落雷で暗転したそのとき、闇のなかで銃声が響く。明かりが戻ると、富豪が胸を血に染めて倒れていた。ところが検視の結果、被害者は撃たれる前にすでに毒殺されていたことがわかり、事件は一層こみ入っていく。
本作の眼目は、流派を異にする四人の心理学者が、それぞれの理論を武器に次々と推理を繰り広げる多重解決の趣向にある。さらに、解決編で手がかりの所在を具体的に示す「手がかり索引」を備えるなど、本格としての遊び心に富む。逃げ場のない洋上という舞台設定も効いた、技巧派らしい一編。
(出典: 原書房 書誌ページ / Tipping My Fedora ほか英語圏書評)
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