review notes
ミステリーとしての読みどころ
黄金期米国の作家マクロイが、心理サスペンス寄りに踏み出した一作。
物語は一人の女性が綴る手記から始まる。西インド諸島からアメリカへ向かう客船の上、彼女は存在しない庭師名義の手紙を代筆するよう頼まれ、見返りに大金入りの封筒を受け取る。その奇妙な依頼を入口に、ひとり旅の女性は殺人事件へと引き込まれていく。
著者ヘレン・マクロイは精神科医ベイジル・ウィリングを探偵に据えた本格で知られるが、本作はそのシリーズに属さないノンシリーズ作。原書は一九四八年、邦訳は宮脇孝雄訳で創元推理文庫に収められた。この前後を境に、マクロイは心理サスペンス色の濃い作風へ軸足を移したとされ、その転換を示す一篇に位置づけられる。
(出典: 東京創元社 書誌ページ / 物語良品館資料室「ベイジル・ウィリング博士シリーズ全作品ガイド」)
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