review notes
ミステリーとしての読みどころ
黄金期の本格ミステリ。「不可能犯罪の巨匠」ジョン・ディクスン・カーが初期に発表した一作で、予審判事アンリ・バンコランを探偵役とするシリーズに連なる。
舞台は霧に沈む十一月のロンドン。精巧に作られた絞首台の模型が、ある人物のもとへ薄気味悪い贈り物として届けられる。その夜、運転席に首のない死体を乗せた車がバンコランたちの前に現れ、十七世紀に実在した処刑人ジャック・ケッチを名乗る者から殺人の予告が届く。さらに、どの地図にも載っていない「破滅街」という幻の通りが、事件の鍵として浮かび上がる。
夜の霧、伝説の絞首刑執行人、存在しない街路と、怪奇な意匠を凝らした舞台立てが全編を覆う。約六十年ぶりとなる新訳で読める一編。
(出典: Web東京創元社マガジン 若林踏解説〔原題 The Lost Gallows〕 / 東京創元社 書誌ページ ほか)
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