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本格ミステリとしての読みどころ
不可能犯罪小説の長い系譜の中で、特別な座を占めている一冊です。1935年刊、ジョン・ディクスン・カーのギデオン・フェル博士もの長編。英国版題は『空洞の男(The Hollow Man)』。物語は雪のロンドンを舞台に、文学者グリモー教授をめぐる謎めいた事件から幕を開けます。
本作が本格史で繰り返し言及される理由は、第17章「密室講義」にあります。ここで探偵フェル博士はいったん物語を脇に置き、不可能犯罪を成立させる類型を読者に向けて分類・解説してみせる——本格ミステリの作法そのものが作中で語られる、稀有な章立てです。1981年に17名のミステリ作家・評論家による投票で「史上最高の密室ミステリ」第1位に選出されて以来、この評価は動いていません。
ハヤカワ・ミステリ文庫(加賀山卓朗訳、2014年新訳版)で読みやすく入手できます。本格ミステリの見取り図を手に入れたい読者にとって、避けては通れない古典です。
(出典: Wikipedia「The Hollow Man (Carr novel)」「三つの棺」、ハヤカワ・ミステリ文庫公式)
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