Top 特集 凸凹バディが楽しい相棒ミステリ ―名コンビで読む海外ミステリー11選
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凸凹バディが楽しい相棒ミステリ ―名コンビで読む海外ミステリー11選

性格も流儀も正反対の二人が事件を解く。掛け合いの妙とチームワークが光る「バディもの」ミステリーのおすすめを、シリーズで追いたくなる順に紹介します。

天才肌と、それに振り回される常識人。クールな捜査官と、空気を読まない異才。正反対の二人が組むからこそ生まれる化学反応は、本格ミステリのもうひとつの醍醐味です。

謎解きの切れ味に、軽妙な掛け合いと、少しずつ深まる信頼関係まで。一度ハマれば次の巻に手が伸びる——そんな「バディもの」の名コンビを、シリーズで追いかけたくなる順にご紹介します。

こんな読者のための一冊たち

  • 長く付き合えるキャラクターと出会いたい
  • 謎解きと同じくらい、二人の会話を楽しみたい
  • 事件は重くても、読後感は温かくありたい
以下、仕掛けには指一本触れていません。安心してお読みください。

作家×探偵という反則コンビ ―ホロヴィッツ

著者本人が登場人物として相棒を務める、という反則すれすれのメタ趣向。それでいて本格としての完成度が高いのが、ホロヴィッツの凄みです。

メインテーマは殺人 表紙

メインテーマは殺人(アンソニー・ホロヴィッツ/2019)

偏屈な元刑事ダニエル・ホーソーンが、作家アンソニー・ホロヴィッツ本人に「俺の事件を本にしろ」と持ちかける。著者が実名でワトスン役を務め、振り回されながら筆を走らせる——虚実が溶け合うメタ趣向と、本格パズルの堅牢さが同居した、人を食ったバディものの傑作です。葬儀の準備をした女性が数時間後に絞殺されるという古典的な「引き」も完璧。刊行順に読めば、噛み合わない二人の距離が縮まるさまも味わえます。

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老いてなお痛快な“四人組” ―オスマン

二人どころか四人組。高齢者たちのチームワークと軽妙な会話が、本格の骨格を温かく包む人気シリーズです。

木曜殺人クラブ 表紙

木曜殺人クラブ(リチャード・オスマン/2020)

ケント州の高級リタイアメント・ヴィレッジ。元警官、看護師、活動家、精神科医——70代の四人が毎週木曜に未解決事件を肴に語り合っていたら、足元で本物の殺人が起きてしまう。軽妙な掛け合いの裏に、老いや喪失という主題をそっと織り込む構成が絶品です。英国の国民的テレビ司会者による、世界的ベストセラーのデビュー作。

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木曜殺人クラブ 二度死んだ男 表紙

二度死んだ男(2021)

エリザベスの元夫である元MI5エージェント・ダグラスから、高額ダイヤモンド絡みの助力要請が届く。第1作で仄めかされた団員たちの過去が、本格的に前面へ出てくる第2作です。組織犯罪と足元の別の事件が二層構造で動き、団員それぞれの私生活の掘り下げによって、第1作の軽妙さから一段深い場所へと到達します。

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刑事×天才分析官、最強のタッグ ―クレイヴン

無骨で直感型の刑事ワシントン・ポーと、社会性に難ありの天才分析官ティリー・ブラッドショウ。この「最高に噛み合わない二人」は、巻を追うごとに関係が育っていくのが最大の魅力。シリーズはぜひ刊行順に。

ストーンサークルの殺人 表紙

ストーンサークルの殺人(2018・第1作)

カンブリアの環状列石で、焼死体が次々と見つかる。不器用だが筋を通すポーと、圧倒的な分析力を持つティリーが、犯人「焼殺者」を追います。英国地方の冷気が漂う、シリーズの説得力ある出発点。ゴールドダガー賞受賞作です。

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ブラックサマーの殺人 表紙

ブラックサマーの殺人(2019・第2作)

6年前にポーが投獄させた有名シェフ。その事件で死んだはずの“被害者”の娘が、生存を主張して現れます。ポー自身の倫理観と判断力が初めて大きく揺さぶられ、それを救うのがティリーの分析——二人の信頼が試される、シリーズ屈指の重要作です。

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キュレーターの殺人 表紙

キュレーターの殺人(2020・第3作)

クリスマスのカンブリアで、人間の指が街のあちこちに「展示」される猟奇事件。謎めいた文字列と、背後に潜む巨悪「キュレーター」の正体を、二人が追います。シリーズが“大化けした”と評される代表作で、猟奇的な設定の下の本格構造がとりわけ堅牢です。

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グレイラットの殺人 表紙

グレイラットの殺人(2021・第4作)

マスクをつけた銀行強盗に始まり、首脳会議を控えたカンブリアでサミット関係者が殺害される。政府やテロ対策が絡む国家規模の事件へと、物語が一気に拡張する転機の一冊。ポーとティリーが、これまでとは桁違いの相手と対峙します。

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ボタニストの殺人 表紙

ボタニストの殺人 上・下(2022・第5作)

押し花と詩を添えた予告状を送り、厳重な警備をかいくぐって標的を殺す「ボタニスト」。時を同じくして、ポーの友人で病理学者のエステル・ドイルが父親殺しで逮捕され、沈黙する。予告殺人と、逮捕された友——二本の線が同時に走り、ポーが「友を信じる側」に立たされる転機の一作です。

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デスチェアの殺人 表紙

デスチェアの殺人 上(2024・第6作)

カルト教団の指導者が、木に縛られ石打ちで殺される。体に刻まれた難解な暗号には、さすがのティリーも手こずります。やがて15年前の、少女による一家殺害事件が輪郭を現し——シリーズで最も暗い領域に踏み込んだ最新作です。

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黄金期の名コンビ ―ウルフ&アーチー

凸凹バディの型は、黄金期にすでに完成していました。自宅の安楽椅子をめったに離れない美食家の天才と、その手足となって動く軽妙な相棒。この非対称こそ、バディものの原点です。

料理長が多すぎる 表紙

料理長が多すぎる(レックス・スタウト/1938)

美食家にして肥満漢の名探偵ネロ・ウルフが、世界の名だたるシェフ十五人が会する美食家協会の催しに招かれ、相棒アーチー・グッドウィンを伴って珍しくニューヨークの自宅を離れます。ところが集いの最中にシェフの一人が殺害され、ウルフは捜査に引き込まれていく。料理やソース、香辛料をめぐる蘊蓄が全編に散りばめられ、グルメ小説の楽しさと謎解きの面白さを兼ね備えたシリーズ第5作。安楽椅子探偵が例外的に外へ出るという趣向も、新鮮に映る一冊です。

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英国の名コンビ ―モース&ルイス

ビールと文学とクロスワードを愛する変わり者の警部と、実直な相棒の部長刑事。オックスフォードを舞台にした、英国で最も愛された名探偵コンビのひとつです。

ウッドストック行最終バス 表紙

ウッドストック行最終バス(コリン・デクスター/1975)

オックスフォードでウッドストック行きの最終バスを待っていた二人の若い娘が、待ちきれずにヒッチハイクを始める。その晩、そのうちの一人が酒場の中庭で遺体となって発見されます。捜査にあたるのは、変わり者のモース主任警部と相棒のルイス部長刑事。のちにジョン・ソウ主演でテレビドラマ化されて国民的な人気を博したシリーズの、記念すべき第1作です。長く愛される二人の出発点を、ここから確かめられます。

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優れたバディは、謎が解けたあとも記憶に残ります。事件は終わっても、あの二人にまた会いたい——そう思わせてくれる作品を、ここに集めました。

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この特集で紹介した本

メインテーマは殺人 表紙画像
現代英国

メインテーマは殺人

アンソニー・ホロヴィッツ
著者本人が実名でワトスン役を務めるメタ本格。ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ第1作。
★ イチオシ#軽妙な掛け合い#凸凹コンビ#クリスティの末裔
木曜殺人クラブ 表紙画像
現代英国

木曜殺人クラブ

リチャード・オスマン
老人ホームの70代四人組が未解決事件を趣味で語り合っていたら、足元で本物の殺人が起きてしまう現代英国本格。
★ イチオシ#クリスティの末裔#おばあちゃん探偵#軽妙な掛け合い
木曜殺人クラブ 二度死んだ男 表紙画像
現代英国

木曜殺人クラブ 二度死んだ男

リチャード・オスマン
エリザベスの元夫である元 MI5 エージェントが現れて、20百万ポンドのダイヤモンドが絡む——シリーズ第2作。
★ イチオシ#クリスティの末裔#おばあちゃん探偵#軽妙な掛け合い
ストーンサークルの殺人 表紙画像
現代英国

ストーンサークルの殺人

M.W.クレイヴン
カンブリアの環状列石で焼かれた死体。CWAゴールド・ダガー賞を受賞したワシントン・ポー・シリーズの第1作。
★ イチオシ#英国警察の重厚#凸凹コンビ#不器用な刑事
ブラックサマーの殺人 表紙画像
現代英国

ブラックサマーの殺人

M.W.クレイヴン
6年前にポーが刑務所送りにしたシェフ、ジャレッド・キートン。殺害したはずの娘エリザベスを名乗る女性が現れる。
★ イチオシ#英国警察の重厚#凸凹コンビ#不器用な刑事
キュレーターの殺人 表紙画像
現代英国

キュレーターの殺人

M.W.クレイヴン
クリスマスのカンブリアで、切断された指が街のあちこちに「展示」される。シリーズ第3作にして大化け。
★ イチオシ#英国警察の重厚#凸凹コンビ#不器用な刑事
グレイラットの殺人 表紙画像
現代英国

グレイラットの殺人

M.W.クレイヴン
カンブリアで殺されたサミット関係者。情報機関も絡む国家規模の事件にポーが挑む、シリーズ第4作。
★ イチオシ#英国警察の重厚#凸凹コンビ#不器用な刑事
ボタニストの殺人 表紙画像
現代英国

ボタニストの殺人

M.W.クレイヴン
押し花と詩で予告し著名人を殺す「ボタニスト」。ポー&ティリー第5作、邦訳上下巻。
★ イチオシ#不器用な刑事#凸凹コンビ
デスチェアの殺人 表紙画像
現代英国

デスチェアの殺人

M.W.クレイヴン
石打ちで殺された男の体に刻まれた解読不能のコード。ワシントン・ポー&ティリー第6作、シリーズ最暗部。
★ イチオシ#不器用な刑事#凸凹コンビ
料理長が多すぎる 表紙画像
黄金期米国古典

料理長が多すぎる

レックス・スタウト
自宅の安楽椅子をめったに離れない美食家の名探偵ネロ・ウルフが、世界の名シェフが集う美食家協会の催しに招かれ、珍しく旅に出る。料理人の一人が殺害され、ウルフと相棒アーチー・グッドウィンが捜査に乗り出す。料理やソースの蘊蓄が全編にちりばめ...
#黄金期の薫り#安楽椅子探偵#名探偵に身を任せる
ウッドストック行最終バス 表紙画像
現代英国

ウッドストック行最終バス

コリン・デクスター
オックスフォードでウッドストック行きのバスを待っていた二人の娘がヒッチハイクを始め、その晩、一人が酒場の中庭で遺体となって発見される。捜査にあたるのが、ビールと文学とクロスワードを愛する変わり者、モース主任警部と相棒のルイス部長刑事。...
#英国警察の重厚#オックスフォードの街角#パズラー寄りの警察小説